《社説:憲法改正問題 自民も民主も逃げている(毎日7.24)》:見解をはっきりさせない政党に憲法改正を決める資格はないと思います
2007-07-26


『選挙期間はわずかになったが、自民、民主両党は逃げずに憲法を語るべきだ』−−−毎日新聞がこのような社説を掲載しました。
 たしかにそのとおりだと思います。
 社説は、まず最初に安倍首相に批判の矢をむけています。
憲法の扱いについて、年頭会見(2007年1月4日)と『記録漏れ問題が噴出する前後での落差が大き過ぎる』と述べています。たしかに、あいまいな出し方です。そのあたりの事情についても、九条問題で見解がちがう公明党の選挙協力を必要とするからと解説しています。
 要するに、選挙を乗り切るために、重要な主張はあいまいにするということです。
 しかし、それは有権者をきわめて軽く扱っていることになります。見ざる、聞かざる、の状態において、「憲法改正」を発議することを狙っているといわれても仕方ありません。
 憲法問題での見解をあいまいにして当選した議員たちが、密室で「憲法改正」を行うことになるからです。

************ 資料 ************************

社説:憲法改正問題 自民も民主も逃げている
 憲法論議が一向に盛り上がらない。

 安倍晋三首相にとって憲法改正は主張する「戦後レジームからの脱却」の中心をなすものだ。それゆえ年頭会見で憲法改正を争点にする意向を示し、国民投票法も成立させたのだろう。
 ところが年金記録漏れ問題で状況が一変し、選挙では年金問題を正面に据えざるを得なくなった。有権者の関心に応えるために政策アピールの優先順位を変更することもあるだろう。
 しかし憲法の扱いについて、記録漏れ問題が噴出する前後での落差が大き過ぎる。
 首相は公約で「2010年の国会で憲法改正案の発議をめざす」と明記していると反論するかもしれない。しかし、9条改正では具体的に自衛軍を定めた党の新憲法草案を問うのかも明確にされていない。
 首相は日本記者クラブ主催の党首討論会で「我々の案がすべて通るとは思っていない。まずは国民としっかり議論していくことが大事だ」と述べるにとどまった。これでは「今回、憲法は問わない」と宣言してくれた方が有権者は戸惑わないですむ。
 公明党は加憲だが、9条の1項、2項は堅持する立場だ。選挙協力を組む公明党との考えの違いを露呈したくないという、自民党の事情も透けて見える。
 民主党は一層、消極的だ。マニフェストでは「広範かつ円満な合意形成ができる事項があるかどうか、慎重かつ積極的に検討する」とあるだけだ。
 小沢一郎代表は党首討論会で「この参院選で憲法問題を掲げる必要性を私は認識しない」と明言した。公約を拡散させないという選挙戦略の側面や、9条改正に反対するグループを抱える党内事情への配慮もあるのではないか。
 一方、共産、社民両党は憲法改正反対を前面に出している。
 憲法改正の発議は3年後から可能になる。今回当選する候補者は任期中、発議にかかわる可能性が出てくる。その意味でも憲法について定見を持つ候補者でなければ国会議員としてふさわしくない。
 毎日新聞では候補者と主要政党に対して憲法問題でもアンケートを実施した(候補者は14日朝刊掲載、毎日新聞ニュースサイトで閲覧可能。政党は19日朝刊掲載)。
 一部を紹介すると9条改正に自民党候補は7割が賛成し、逆に民主党候補は7割が反対だ。公明、共産、社民、新党日本の候補は回答した全員が反対で、国民新党は5割が反対だった。
 集団的自衛権の行使は、「容認しない」との回答が自民党候補が5割、民主党と国民新党の候補はそれぞれ7割だった。公明、共産、社民、新党日本の候補は全員が「容認しない」だ。
 選挙期間はわずかになったが、自民、民主両党は逃げずに憲法を語るべきだ。そして有権者は判断材料を探しながら、各党、各候補者の見識を見定めていきたい。
毎日新聞 2007年7月24日 0時01分
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