文藝春秋特別企画 『坂の上の雲』と司馬遼太郎
2009-11-10


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とうとう司馬遼太郎の『坂の上の雲』がNHKから放映されることになったのですね。これが新聞紙上で連載されたとき、楽しんで読み、その後、大きな疑問をいだくようになった私には、複雑な思いが過ぎります。
 文藝春秋12月特集号をはじめ、今後まちがいなくブームとなっていくと思います。元自民党代議士の塩川正十郎氏は、この特集号のなかで『いま日本人のアイデンティティーが崩壊しつつあり、良き伝統を否定しようとする風潮があるなか、司馬さんの作品がその復活に大きい刺激となってくることをたえず期待している』と書いています。
 この「良き伝統」をなにと考えるのか、そして「その復活」とはなにか。私は、この点を危惧するのです。
 同じく寺島実郎氏は、『「無目標社会」といわれる現在、国家の呪縛から解放され、「自分のためだけに生きてよい」という自由を手に入れた戦後なる時代を生きてきた我々は、これからの日本をどう創造していくのか。司馬遼太郎という人は、途方もない思いテーマを設定していったものである。』と述べています。
 人々が共同して生きることを望むことは正しいことですが、それが有らぬ方向に誘導されていくことを憂います。
 いずれにしても、これは小説。それがいまの時代背景のもとで、どう受け止めて行けばいいのかが問われるのです。
[日清戦争]
[日露戦争]

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