棚田の風景から鈴が聞こえる 〜高島市畑〜
2010-10-22


禺画像]
今年の夏、Kさんのログハウスに行ったとき、周囲の農村風景を撮りました。その帰り道、道を聞いた相手は、ちょうどこの写真の向こうに住む高齢者のご夫婦でした。「朽木に抜けたいのですけど・・・」とたずねたとき、老農夫の方は、「こっちの細い道も行けるけど、道路があるから、そっちへ行ったらいい」と道案内を始めました。同じく野良仕事着の奥さんは「あんた、そっちは通行禁止やで」と止めにかかりました。それを無視して案内をつづける夫。
 どうしていいやらわからないまま、お礼を言って、立ち去りました。結局は、ジュラシック・パークのようなゲートを自分で開けないと通れない自動車道でしたから、通行はやめにしました。
 そんなことを思い出したのは、昨晩見た韓国映画『牛の鈴音』のおかげでした。
 この映画で思い出したのは、夏の農村風景だけではありません。カミさんの里での家族、親戚総出の焼き肉パーティの光景も浮かびました。映画とまったく同じでした。高齢の夫婦を息子達夫婦がたずねて、孫もろともに、賑やかに庭で机をならべて、焼き肉・・・。
 ただ、もう義父はいません。カミさんは映画を見ながらどう思ったのだろうと、横顔を見ました。いつもは、仕事疲れで寝てしまうカミさんが、しっかり見ていました。
 気になったのは、ドキュメント映画のなかの息子達が、農業を継ぐ気配がまったくなかったことです。高畑勲監督の『おもひでぽろぽろ』の世界は、農業回帰がテーマでしたが、現実は容易にその方向に向かうことはないようです。ふと、アニメの「有機農業は有機がいる農業」ってセリフも思い出しました。
 棚田を写真からは、以前には聞こえなかった牛の鈴音が聞こえてくる気がしました。
[風景]
[高島市(旧高島郡)]

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