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BOOKOFFで見つけて買ってきました。
ところで、この本の著者、阿部謹也さんが、去年なくなられました。
ご冥福をお祈りします。
さて私が阿部さんの書かれたものをはじめて読んだのは、
『ドイツ中世後期の世界 - ドイツ騎士修道会史の研究』(未來社, 1974年) でした。それは、ポーランド=リトワニア連合国家、モスクワ大公国、ドイツ騎士団などがからみあう東欧の歴史を描いたほとんど唯一の文献だったからだと思います。
偶然見つけて、繰り返し読みました。
阿部さんの『ハーメルの笛吹き男』は、良く知られた伝説を扱ったものです。
約束を破られた笛吹き男が村中の子どもたちを連れ去るという話です。
《13世紀ドイツの小さな町で起こった、ひとつの小さな事件から生まれたローカルな伝説であるかもしれないが、この伝説は僅かの間に全世界に知られるようになった。1284年に起こったこの事件が何であったにせよ、この頃のハーメルンの人々の悲しみと苦しみが時代を越えて私たちに訴えかけているからであろう。その悲しみと苦しみを生み出した当時の人々の生活に接近するとき、私たちはこの伝説に対する素朴な謎解き的関心や好奇心を越えて、ヨーロッパ社会史の一面に直接触れることになるだろう》(16ページ)
国や君主の争いなどが主題となりがちが歴史学のなかで、
このような伝説にアプローチしたことが私には新鮮でした。
図版などがたくさん使われていますので、楽しめると思います。
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