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●Бабий Яр
「バビ・ヤール」(Бабий Яр)は、 ウクライナの地名。
キエフに近い谷間の名称である。
баба は、女性の卑称。 яр は、切り立った断崖。渓谷である。
つまり、直訳すれば「女の谷」・・・。
歴史的には、 第二次世界大戦の激戦地である。ナチス軍とソ連軍の。
「バビ・ヤール」は、同時に、 ショスタコーヴィッチの第13番目の交響曲をさす 名前となっている。 ショスタコーヴィッチは、もちろん、この歴史を踏まえて、この曲をつくっているわけである。
●エフトシェンコの詩
エフゲニー・エフトシェンコ(1933年生まれ)は、旧ソ連の《雪解け時代》(1956〜64年)に 時代の寵児として躍り出た詩人である。
『バビ・ヤール』は、この詩人が1961年11月に発表した詩集の名前でもある。
●ショスタコーヴィッチ
ショスタコーヴィッチは、これを読み、これをおもなテキストにして作曲をはじめ、 交響曲第13番として、1962年に初演をしている。
初演の指揮をとったのが、コンドラシンである。
この曲は、マーラーのように、声楽つきの交響曲である。
ショスタコーヴィッチとしてはこういう形式の最初のものである。
●コンドラシン
コンドラシンの幻の録音がCD化されて、タワーレコードから出ている。
1980年12月18、19日;ミュンヘン・ヘルクレスザール(ライヴ)
コンドラシンのサイトがある。
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[URL]
私は、このサイトから、コンドラシン氏が 『バビ・ヤール』の複数の録音を残されているのを知った。 たまたま、中古セールをのぞくと、コンドラシン氏が指揮した「バビ・ヤール」の別のCDがあり、これも買い込むことにした。
●非日常的な世界へ
バビ・ヤールは、ほとんどの日本人にとって なんの感想ももたらさない地名である。 この谷で、5から7万人のユダヤ人が虐殺されたにもかかわらず。
帝政ロシアでも、旧ソ連でもユダヤ人問題はタブーである。
それを正面からとりあげた エフトシェンコも、ショスタコーヴィッチも、普通ではない行動をしたことになる。
●交響曲「バビ・ヤール」
音楽は、いきなり鐘の音から始まる。
そして、半音階的進行する主題。
合唱がエフトシェンコの詩をなぞる。
目の前に、谷が見えるというのではないが、非日常的な世界にわれわれを
ひきずりこむ音と詩の世界がそこにある。
●アナトーリィの小説
『バビ・ヤール』は、
アナトーリィ(クズネツォフ)А. Анатолий (Кузнецов)
の小説の題名でもある。
日本語の翻訳があったはずだが、
私は読んでいない。
ちなみに、ロシア語でユダヤ人の歴史に
ついてのサイトがある。
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[URL]
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