半藤一利 『山県有朋』(ちくま文庫)
2010-10-27


私にとって山県有朋は、もっとも共感できない人物の一人です。同時に、兵卒の墓碑を調べるという作業からすれば、それらの若者の運命にもっとも大きな影響を与えた人物ともいえます。
 つまり、徴兵制(明治6年)の推進者として、農民や町民に軍事教練を与え、内戦や侵略戦争の担い手にしたという意味で。旧大津陸軍墓地の下段に葬られている若者たちに則していえば、入営し、兵役訓練中に亡くなるという運命を与えた人物ということになります。

 半藤一利氏の『山県有朋』は、庶民の立場からすれば、雲の上の出来事を、明るい政治的なゲームのような感覚で描いています。その明るさにあきれながら、結局、庶民の運命というのは、雲の上の動きを眺めてはじめて理解できる−−−そんな気にもさせてくれます。
[本]

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